日本モーゲージサービス(7192)が、資金調達を目的としてMSワラント(行使価額修正条項付新株予約権)を発行すると発表し、これにより9月7日(月)以降の株価は大幅に下落しました。
今後の参考となるよう、MSワラント発行までの1ヶ月間にあった株主優待制度改悪⇒撤回の流れも含めてまとめておきます。
MSワラントって何?
※かなり端折って記載している部分もありますがご容赦ください。
物凄く簡単に言うと、自社の株を新しく、市場価格より安く第三者(今回は証券会社)に発行して資金を調達する方法。
このMSワラントを発行すると一般的に株価は急落します。大きな理由は「大量の株式が市場に放出される事」「1株あたり利益が低下する事」です。
自社の株を新しく・安く発行して資金調達する方法と言えば「公募増資」を思い浮かべますが、発行する企業にとっては公募増資より事務手続きなど様々な要因で容易に実施できるので、一部の企業にとっては都合が良いのでしょうね。
しかも市場価格より安く引き受けた第三者(証券会社)はほぼ確実に儲かる、というマジックもあります。
(その儲けは一般株主から吸い上げられます・・・)
※MSワラントは、一般的に資金調達が難しい赤字企業が実施しているイメージです。
日本モーゲージサービスがMSワラント発行に至るまでの流れ
8月7日(金):株式分割・増配・株主優待制度の変更を同時発表!
株式2分割と増配の発表と同時に、
・2020年3月の優待権利確定時に100株ホルダーだった株主は【2022年3月から】しか株主優待がもらえない!
・次回の株主優待は、分割後300株以上の保有が必要!
という開示を出しました。
今まで100株ホルダーとしてクオカード・カタログギフト優待を楽しんでいた私は、次回権利まで1年半かかる事や既存株主に対する姿勢に失望しPTSで即売り。
8月8日(土):株主優待制度の訂正を発表!
「2020年3月の優待権利確定時に100株ホルダーだった株主も、9月に300株以上持っておけば2021年3月権利で優待を差し上げます」と方針を急遽変更!
社内情報共有に齟齬があり、8/7 に頂いた一部お問い合わせのご回答及びIRサイトの記載に誤りがあり、混乱を招きました…とコメントがありましたが、一部株主からは「またいつか改悪がありそう」という声もちらほら。
なお株式分割は9月1日からなので、分割後旧100株(分割後200株)ホルダーは粛々と買い増す動きが発生。株価も分割直前に比べ上昇していました。
そして9月4日(金):MSワラント発行を発表!
これが今回の開示です。「優待改悪がありそう…」の前に予想外のニュースでした。優待制度に振り回された株主はたまったもんじゃありません。
管理人のコメント(私見)
恐らく8月からの流れは、全て資金調達のための準備だったのでしょう。
ただ会社にとって一つ誤算だったのは、優待制度の改悪発表翌日に内容を訂正した事。
訂正の理由としては、改悪発表日の夜間PTS株価が大幅下落したため資金調達が上手くできない危険性が出たり(株価が下落してしまうと調達できるキャッシュが目減りするので出来るだけ株価維持が必要)、想像以上に株主から問合せ等の強いプレッシャーが掛かったのだと推測しています。
ただこの訂正によって株主優待に必要な費用軽減は限定的になってしまったので、今後さらなる改悪もあり得るかもしれませんね。
そのため、特に株主の皆さんにとっては、日本モーゲージサービスの決算情報に細心の注意を払う必要があると思います。
このような訂正・ワラント発行の経緯を見る限り株主に対する姿勢を疑ってしまいますので、株主としても疑った目で見続けたほうがよいでしょう。
以上、日本モーゲージサービスのMSワラントに関する記事でした!
コメント
わかりやすい解説ありがとうございます。
いくつか気になる点があったので質問させてください。
「大量の株式が市場に放出される事」
を緩やかにできるからメリットなんじゃないかと思ったのですが、どうなんでしょうか?
あと1点ですが、公募増資の場合もディスカウント設定ありませんでしたっけ。。
突然すみませんが、よろしくお願いします。
初心者投資家さん、コメントありがとうございます。
まず最初に、公募増資にもディスカウント設定はあります(^^)
確かに、どのタイミングか不明ながら緩やかに株式が放出されるのであればメリットですね。
ただ公募増資との大きな違いは、引受先の証券会社「だけ」が確実に儲かるという事です。
MSワラントは「行使期間内ならいつでも前日の終値からディスカウント価格で買える」というマジックがあり、さらにディスカウント価格で買えるのは引受先だけなので、一般株主からすればフェアではないと考えています。
また、もし株価が下落し下限行使価額に近づいた場合、引受先は急いで行使・株式売却しないと利益が出せなくなるため一気に行使に走るでしょう。
そうなれば株価急落、売りが売りを呼ぶ状況となりますので、投資家の警戒度は公募増資の比ではありません。
そして投資家の皆さんもMSワラントの事をよくご存知ですので「この会社はまたMSワラントを発行するかも」といった思惑から失望売りが出やすく、公募増資以上に株価を下げる要因になりやすいです。
他にも引受先の空売りによる株価低迷など一般株主へのデメリットがありますが、今回は空売りしないと発表しているようなので今回は割愛となります。
まぁ、このタイミングで公募増資といわれても相当なショックですがね…。
早速ありがとうございます!
なるほど。公募増資は引受先?がみんな得するけど、ワラントは証券会社だけってことなんですね。
確かに、結果的に起きる事象は同じでも証券会社だけ得するってのはなんとなくずるい気がしますね笑
プレス拝見して、調達の目的とか、とてもしっくり来たので応援しているのですが、様子見ですかね。。